禅
禅(ぜん)は、仏教の一派であり、主に中国の禅宗と日本の禅仏教(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)を指します。禅は、坐禅(ざぜん)や瞑想を通じて心を静め、悟り(さとり)を得ることを目的としています。
歴史
中国における禅の起源
禅の起源は、インドから中国に伝来した仏教の一派である大乗仏教の流れを汲みます。禅宗の祖とされる菩提達磨(ぼだいだるま)は、6世紀頃に中国に渡り、嵩山少林寺において壁に向かって9年坐禅を続けたとされている。彼の教えは「直指人心、見性成仏」(じきしにんしん、けんしょうじょうぶつ)という言葉で表され、これは「心を直接指し示し、自らの本性を見つけて仏となる」という意味です。
日本における禅の発展
日本には、鎌倉時代(12世紀末から14世紀初頭)に禅宗が伝来しました。代表的な伝来者として、栄西(えいさい)と道元(どうげん)が挙げられます。栄西は臨済宗を、道元は曹洞宗を日本に広めました。また、江戸時代には黄檗宗が伝来し、日本の禅仏教の三大宗派が確立されました。
教義と実践
坐禅(ざぜん)
禅の最も重要な修行法の一つが坐禅です。坐禅は、静かに座り、呼吸を整え、心を静める瞑想法です。坐禅を通じて心を無にし、悟りを目指します。
公案(こうあん)
公案は、禅の師が弟子に対して与える問題や問いかけであり、弟子はその答えを見つけることで悟りに近づくとされています。有名な公案の例として「隻手の声」(せきしゅのこえ)があります。
主要な宗派
臨済宗(りんざいしゅう)
臨済宗は、栄西によって日本に伝えられた禅宗の一派で、修行において公案を重視します。臨済宗の寺院としては、建仁寺や妙心寺が有名です。
曹洞宗(そうとうしゅう)
曹洞宗は、道元によって日本に伝えられた禅宗の一派で、坐禅の実践を重視します。曹洞宗の寺院としては、永平寺や総持寺が知られています。
黄檗宗(おうばくしゅう)
黄檗宗は、江戸時代に中国から伝来した禅宗の一派で、臨済宗と曹洞宗の中間的な教えを持ちます。黄檗宗の寺院としては、萬福寺が有名です。
影響
禅は、日本文化に深い影響を与えており、茶道、書道、庭園など多くの分野にその影響が見られます。また、禅の思想は、現代のマインドフルネスやストレス管理の手法にも取り入れられています。