落語
定義
- 人間の業の肯定が落語、人間の業の克服はそれ以外の芸能
落語には人間の業を肯定する要素があり、立川談志は「落語は人間の業の肯定である」と述べています。これは、人間の弱さや醜さ、愚かさといった「業」を登場人物に引き受けさせて語ることで、人間はダメでもいいんだよというメッセージを伝えていると言えます。 たとえば、酒を飲むなと言われても飲んでしまう、片思いや横恋慕に悩んでいる、お金がないのに見栄っ張りな様子など、道徳の教科書には載らない人間の本音を描いています。落語では、こうした人間の本音を肯定し、酒好きやケチ、短気な人など、人それぞれ違うことを受け入れています。 立川談志は、落語の構造を「人間の業の肯定を前提とする一人芸」と表現しており、この落語の姿勢が庶民に愛され続けてきた理由を説明しています。
説明
落語（らくご）は、日本の伝統的な口頭芸能で、一人の演者（落語家）が台詞や仕草を使って物語を語る形式の演芸です。江戸時代に始まり、現在でも日本各地で広く楽しまれています。落語は、ユーモアや風刺を交えた話芸として知られ、その歴史とともに多くの演目が伝えられています。
落語の聞き方
①面白かったら大きい声を出して笑う ②面白いところを探して笑う ③面白くなくても笑う努力をする つまり ①自分の思っていることは、相手に声を出して言わないと伝わらない ②相手の事を思いやるには、想像力が必要 ・結構大変、余裕ないと無理、破綻する、そもそも気づけない ・その想像は現実的なのかチェックも必要 ③今この場を面白くするのもつまらなくするのも自分次第 （つぶれない為に「三十六計逃げるに如かず」という策も頭の片隅に入れておく） 「お多福来い来い: てんてんの落語案内」より一部抜粋
立川談志
・「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。 時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。 現実は事実だ。 そして現状を理解、分析してみろ。 そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。 現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。 その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」（立川談志） 修業とは、不合理、矛盾に耐えること（立川談志） 落語は業の肯定、他の芸は業の克服（立川談志） 落語は忠臣蔵の四十七士じゃなくて、逃げちゃった残りの赤穂浪士二百五十三人が、どう生きるかを描くもんだ（立川談志）
落語
歴史
落語の起源は、江戸時代初期に遡ります。当初は寺院や神社での説教や講談が元になり、次第に娯楽としての話芸に発展しました。江戸（現在の東京）と上方（現在の大阪・京都）でそれぞれ独自の発展を遂げ、江戸落語と上方落語という二つのスタイルが確立されました。
形式
落語の演目は、大きく分けて以下のような形式があります。
- **古典落語**: 伝統的な演目で、江戸時代から明治時代にかけて作られた話が多い。例えば、「寿限無」「時そば」「芝浜」などがあります。
- **新作落語**: 近代以降に作られた新しい演目で、現代の生活や社会問題をテーマにしたものが多い。
構成
落語の話は一般的に次のような構成を持っています。
- **枕（まくら）**: 本題に入る前の導入部分で、時事ネタや身近な話題を用いて観客の注意を引きます。
- **本題**: 主な物語の部分で、登場人物の会話や動作を通じて話が進行します。落語家は一人で複数の役を演じ分けます。
- **落ち（オチ）**: 話の結末部分で、ユーモラスな締めくくりや意外な展開が特徴です。この部分が「落語」という名前の由来でもあります。
演者
落語家は一人で複数の役を演じ分け、声色や仕草を使って物語を展開します。伝統的な衣装である和服を着用し、座布団に座って演じることが一般的です。落語家は徒弟制度で修行を積み、名人（師匠）から直接指導を受けます。
現在の落語
現代でも落語は多くの人々に親しまれており、テレビやラジオ、寄席（劇場）などで広く演じられています。新しいメディアでの展開も進んでおり、インターネット配信や漫画・アニメ化された作品も人気を集めています。また、若手落語家の台頭や新作落語の創作など、伝統を守りつつ新しい試みも行われています。