物理はただしいと言い切れるのか?数学は?

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物理は正しいと言い切れるのか?

物理学は、観測や実験によるデータを基にして、自然界の法則を説明するための学問です。そのため、物理学の理論は「観測事実と一致する限りにおいて正しい」とされます。

物理学の正しさに関するポイント

  1. 仮説の限界
  物理学の理論は、観測範囲や時代の技術水準に依存しています。たとえば、ニュートン力学は日常の物体運動をよく説明しますが、相対論や量子力学のスケールでは正確ではありません。
  1. 修正される可能性
  物理学の理論は新たな発見や観測により修正されることがあります。過去には「絶対的な真理」とされたものが後に改良された例が多くあります(例:エーテル説、古典力学の修正)。
  1. モデル化の限界
  物理は自然現象を数学的にモデル化する学問でもありますが、モデルそのものが完全に自然を再現できるわけではありません。モデルの有効性は状況や条件に依存します。

したがって、物理学は「観測事実と矛盾しない限りで正しいが、絶対的な正しさではない」と言えます。

数学は正しいと言い切れるのか?

数学は論理的推論と公理系に基づく体系です。そのため、物理とは異なり、「仮定(公理系)のもとで論理的に正しい」とすることができます。

数学の正しさに関するポイント

  1. 公理系の内部での正しさ
  数学はすべての命題が一定の公理系(例:ユークリッド幾何学、公理的集合論)のもとで論理的に導かれます。この公理系内では、「正しい」とされる命題は疑いようがありません。
  1. 公理の選択による多様性
  異なる公理系を採用すると異なる数学が成立します。たとえば、ユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学は異なる公理に基づいていますが、どちらも数学的には正しいとされます。
  1. 数学の基礎の問題
  ゲーデルの不完全性定理により、「任意の公理系は、その中で証明不可能な命題を必ず含む」とされています。このため、数学は内部で完結していないという側面もあります。

したがって、数学は「公理系の範囲内では絶対的に正しいが、公理の選択や体系の限界を考慮する必要がある」と言えます。

結論

  • 物理:現実をモデル化し説明する学問であり、観測範囲内で「正しい」とみなされるが、絶対的な正しさを持つわけではない。
  • 数学:論理体系の上では「正しい」と言い切れるが、選択する公理系や不完全性の問題が存在する。

両者とも、我々が世界を理解するためのツールとして非常に有用であり、適用範囲や前提条件を意識することで、その「正しさ」を評価できます。


参考