性善説
性善説
性善説(せいぜんせつ)は、人間の本性は本来善であるとする思想や理論を指す。古代中国の思想家孟子によって提唱された考え方であり、彼は「人間は生まれつき善なる性質を持っている」と主張した。これに対して、人間の本性を悪とする性悪説が存在する。
概要
性善説は、孟子が儒教思想の一環として提唱したもので、人間は道徳的な性質を本来備えているとする考え方に基づいている。孟子は、人間は生まれながらにして他者を思いやる心(惻隠の心)や義を重んじる心(羞悪の心)を持っていると考え、これが教育や環境によって伸ばされると善い人間になると主張した。
孟子の主張
孟子は、具体的に以下のような四つの徳を、人間の本性に備わっているものとして挙げている:
- 惻隠の心 - 他人の苦しみを見たときに抱く同情心
- 羞悪の心 - 不正を恥じる心
- 辞譲の心 - 他人に譲る謙虚な心
- 是非の心 - 善悪を判断する心
これらの徳は、生まれつき人間に備わっているものとされ、外的な教育や修養によって発展させることができるとされた。
対立概念
性善説に対して、荀子によって唱えられた性悪説が存在する。性悪説は、人間の本性は悪であり、善は後天的に学び得るものであると主張する。これにより、性善説と性悪説は、儒教思想の中でも対立する代表的な思想となっている。
現代における議論
現代でも性善説は、教育や社会制度の設計において重要な議論の対象となっている。人間の本性を善とするか悪とするかによって、教育方針や法律、社会のあり方に対する考え方が異なるためである。