弁証法的行動療法
弁証法的行動療法 (DBT)
弁証法的行動療法(DBT、英: Dialectical Behavior Therapy)は、認知行動療法(CBT)の一種であり、特に感情不安定や自傷行為などの問題を抱える人々の治療に用いられる。DBTは、マーシャ・リネハンによって開発され、特にボーダーラインパーソナリティ障害(BPD)の治療に効果的であることが示されている。
定義
DBTは、認知行動療法の基本的な技法を取り入れつつ、感情調整や人間関係の改善などのスキルを強化することを目的とした療法アプローチである。"弁証法"とは、相反する要素や異なる見解が共存することを意味し、患者と治療者の間での対話(ダイアローグ)を重視する特徴がある。
主要な概念
DBTにはいくつかの主要な概念がある。
スキルトレーニング
DBTでは、感情調整、人間関係、ストレス管理、マインドフルネスなどのスキルを教えるトレーニングが行われる。これらのスキルは、患者が日常生活での問題に対処するための具体的な手段を提供する。
弁証法
治療者と患者の間での対話(ダイアローグ)が強調され、相反する感情や行動がどのように共存し得るかを探求する。例えば、変化と受容、個人の責任と環境の影響などの相反する要素を調和させることを目指す。
個別化と柔軟性
DBTは、個々の患者のニーズに合わせて治療計画を調整し、柔軟に対応することを重視する。治療計画は一般的に、個別セッション、グループセッション、および電話相談などで構成される。
応用分野
DBTは主に以下の分野で応用されている。
ボーダーラインパーソナリティ障害 (BPD)
DBTは、ボーダーラインパーソナリティ障害の治療において特に効果が高いとされている。感情の不安定さ、自己イメージの不安定さ、自己傷害行動などに対する効果が認められている。
他の精神障害
DBTは、うつ病、摂食障害、薬物乱用障害などの治療にも適用されることがある。特に感情調整やストレス管理のスキルを教えることで、症状の軽減や予防に役立つ。
診断と治療
DBTは、経験豊富な心理療法士や精神科医によって提供される。治療計画は患者の症状の重症度やニーズに応じて調整され、通常は個別セッションとグループセッションを組み合わせて行われる。
- **個別セッション**: 患者と治療者が1対1で感情や行動の問題について取り組む。
- **グループセッション**: 患者同士がスキルトレーニングを行い、実際の日常生活での応用方法を学ぶ。
関連項目
- 認知行動療法 (CBT)
- ボーダーラインパーソナリティ障害 (BPD)
- 自己傷害行動
- ストレス管理