一般意味論

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名称

  • 一般意味論 General Semantics
  • コージプスキー(ポーランドの数学者、論理学者)が最初に用いた

概要

  • 言語化に伴う色々な人間の反応や行動について研究しようとする理論
  • 言葉を正しい使い方を目指す理論
  • 抽象過程への自覚
「地図と現地の違い」の自覚であり、言語などの表現方法によってどれだけの現実が破棄されているかということへの自覚である
  • 「地図は現地ではない(コトバは、モノではない)。単語はそれが表す事象そのものではない。」
コトバのタブー、病院に4の数字が忌み嫌われるなど、頭で分かっていても、人々は影響をうけている
  • 抽象化
もののすべてを認識することはできない。何かを認識し、それをコトバで表すということは、すでに現実を抽象していることになる
そこには、必ず見落とされた事、言い残したことが存在する
抽象化の裏には捨象があるということを忘れてはならない
  • 直接経験で知る事のできる「出来事の世界」と、コトバを通して知る「言語的世界」の二つにすんでいると言える
  • どんなに地図がよく描かれていても、それが正しい場所と場所との関係、すなわち現地の構造を正しく示しているのでなければ、役に立たない
  • 正しい地図を作るには、地図のゆがみに注意してそれをチェックする方法を考えたり、地図を現地に近づける方法を工夫したりすることが必要
太郎は、わがままで困る
→太郎は、わがままな一面がある
レッテルはりは、高度の抽象化、一般化の産物であるから、固まった頭をほぐすためにはもっと具体的事実のレベルまでに降りてきて考える習慣が大切

三つの原理

  • 非同一の原理(地図は現地ではない:The map is not the territory)
言葉は抽象化されている。
具体的な名称でさえ、抽象化されている。
言葉と現実を一緒にしてはいけない。
言葉≠現実。言葉とリファレント(指し示す物)は、同じではない
言語が神経系の機能に影響を与え、言葉=モノのように振る舞う
  • 非総称の原理(地図は現地のすべてを表すものではない)
いくら言葉をならべてみても、現地は示せない
[英語][日本語]
--------------
[ 現実 ]
抽象化した場合は、必ず、捨てられていった事柄が存在する
認識には限界がある+どんなに定義を重ねても完全に表現することができない
認識し言葉で表すことは、既に現実を抽象化していることになるが、必ず見落とされた事や言い残した事が存在する
  • 自己反射の原理(地図についての地図をつくることができる)
メタ言語:本の要約
メタ認知:自分を上から見つめるもう一人の自分
言葉についての言葉を語ることができる

原理の具体化

抽象のはしご(抽象のレベル)

段階8 「富」
段階7 「資産」
段階6 「農場資産」
段階5 「家畜」
段階4 「牝牛」
段階3 「ベッシー(牛の固有名)」(これより上が言語的段階)
段階2 知覚の段階(牝牛そのものを認識)
段階1 原子的過程のレベル(牝牛そのもの)
  • 抽象の階段を降りていって、リファレントにぶつかることも大切
  • 言葉は抽象のレベルが異なるのに、日常で一緒に並列に並べて扱っていることに問題がある
  • 私たちは、言葉と事実を同じにしている
  • 抽象化が悪いのではなく、抽象の階段を自由に上下できるような柔軟な思考ができることが重要

地図と現地

  • 言葉だけで処理をしようとすると問題が起こる
  • 私たちは言葉と事実を同じにしている
  • 言葉のつけ方でイメージが異なる
「シクラメン」
和名「豚の饅頭(ブタノマンジュウ)」
和名「篝火草(カガリビバナ)」

外在的意味と内在的意味

意味 -+- 現地:外在的意味(言葉では言い表せない。自分の口をふさいで、指で指せば良い。)
      +- 地図:内在的意味(自分の目を閉じて、その語を頭の中で転がせば良い)-+- 通達的内包 意味論的に同じ
                                                                            +- 感化的内包 イメージが異なる
                        
「お父さん」と「パパ」
 意味論的に同じだが、イメージが異なる
 通達的内包は同じだが、感化的内包は異なる
 
 日常、私たちは、感化的内包で動く事が大変多い。
 中性的な言葉を使うとよい。

ものの独自性をみよ(日付と見出し番号をつけよう)

  • 牝牛1は牝牛2ではなく、牝牛2は牝牛3ではない
  • 今日と明日は異なる
  • 例) 近頃の学生は、、、大人は、、、


報告、推論、断定

抽象のレベルが異なる

報告:データ主義(実証もしくは反証可能)、客観的事実をそのまま述べること。
推論:報告されたことがらをもとに、抽象化したり、他の経験と関連づけたりして、まだ知られていないことについて述べる事
   知られていることを基礎に知られていないことについて述べること
断定:報告や、推論で述べられている事実についての自分の評価(良い、悪い、好き、嫌い)
   自分が賛成なのか不賛成なのかを言う、自分の好き嫌いを言う


報告:道で部下にあったが、が挨拶しなかった
推論:彼は、自分を無視した。彼は、自分を見下しているに違いない
断定:自分を無視する部下は、なんてけしからんやつだ

ETC(等)をつけよう

  • 言葉で説明しきれない
  • 言葉は全てを表現できない
  • 私たちは全てを語り尽くせないのだから、どんな文章にも言い残した側面が必ずある。ということを示す為に、ETC(等など)という言葉をつけよう

「である」の正体を見破ろう

  • 太郎はわがままである
  • 太郎はわがままな一面がある
  • AはBである
A = Bと考えがちだが、そうではない場合が多い
  • 「である」の比較
人間は動物である(分類、包含)
彼女は美人である(価値判断、主観的判断)
警官は弱い物の見方である(すべき)
2+2は4である(分析的判断)
ダイヤモンドは最も堅い鉱物である(科学的に実証されうる)


二値的考え方から多値的考えへ

  • 二値的から多値的へ
「黒か白か」から「あれも、これも」へ


レッテル

  • 成功レッテル
一番しぼり、無印良品
  • 言葉はレッテルの役割を持っている

いわない嘘

  • いわなくても成立する嘘もある
例:悪質な宣伝など
  • 言葉は、いくら注意しても、いいたりない所ができてしまう

関連項目