ピークエンドの法則
ピークエンドの法則
ピークエンドの法則(Peak-end rule)とは、人々がある体験や出来事を評価する際に、その体験や出来事のピーク(最高点)と終了時点(エンド)の状態に基づいて、全体の印象や満足度を決定する傾向があるとする心理学の法則です。この法則によれば、体験全体の中でのピークと終了時点の印象が、その後の記憶や評価に大きな影響を与えるとされています。
背景
ピークエンドの法則は、ダニエル・カーンマンとバーバラ・フレデリクソンによって1993年に提唱されました。彼らは、人々が特定の体験を後で振り返る際に、その体験の一部分、特にピーク(最高点)とエンド(終了時点)の感情的な印象に依存する傾向があることを実験的に示しました。
特徴
ピークエンドの法則の特徴は以下の通りです。
1. ピークの強調
体験の中で最も強烈な感情的なピークが、その後の評価に大きな影響を与える。例えば、楽しいイベントの中での高揚した瞬間や、苦痛な体験の中での最も苦しい瞬間が重要とされる。
2. エンドの重要性
体験の終了時点における感情的な状態が、全体の満足度や評価に影響を与える。良い終わり方や悪い終わり方が、後の記憶や感情的な印象に深く刻まれる。
応用
ピークエンドの法則は、様々な領域で応用されています。
1. カスタマーエクスペリエンス
企業やサービス業界では、顧客の体験を良いピークと良い終了時点で終えることで、顧客の満足度や忠誠心を高める戦略が取られます。
2. 医療分野
医療現場では、患者の体験を苦痛なピークや最終的なケアの質で評価し、治療の効果や満足度を向上させる取り組みが行われています。
3. レジャーやイベント管理
レジャーやイベントの企画や運営では、参加者が楽しいピークを体験し、良いエンディングで体験を締めくくることで、継続的な参加やポジティブな口コミを促進する目的で活用されます。
批判
ピークエンドの法則に対する批判としては、全体の体験や出来事を評価する際に他の要素が無視される可能性があることや、個々人や文化によって評価基準が異なることが指摘されています。
参考文献