十牛図
十牛図
十牛図(じゅうぎょず)は、禅宗の教えを表現した絵画であり、禅の修行過程を象徴的に描いたものです。この図は、中国の禅僧である雲門宗密(うんもん そうみつ)によって詠われ、後に日本の禅僧でもある承堯(じょうよう)によって絵画化されました。十牛図は、修行者の心の旅を象徴的に表現し、禅の教えを理解し、実践するための手引きとして用いられます。
構成
十牛図は、一連の絵画で構成されており、次のような段階が描かれています。
- **尋牛**: 修行者が牛を探し始める段階を表します。この段階では、人々は真理や自己の本質を求めて探求の旅に出ます。
- **得牛**: 修行者が牛を見つける段階を表します。この段階では、真理や自己の本質を理解し、それに気づくことができます。
- **乘牛**: 修行者が牛に乗る段階を表します。この段階では、修行者は真理や自己の本質と一体化し、それを体験します。
- **遠牛**: 修行者が牛を遠ざける段階を表します。この段階では、修行者は真理や自己の本質から離れ、世俗的な世界に戻ることを意味します。
- **返牛**: 修行者が牛を家に連れ戻す段階を表します。この段階では、修行者は再び真理や自己の本質を求め、内面の探求に戻ります。
- **入牛**: 修行者が牛と一体化する段階を表します。この段階では、修行者は自己と宇宙の一体性を体験します。
- **隠跡**: 牛が隠れる段階を表します。この段階では、真理や自己の本質は、言葉や概念では捉えられない存在として理解されます。
- **復牛**: 修行者が再び牛を見つける段階を表します。この段階では、修行者は再び真理や自己の本質を見出し、それを追求します。
- **舎利**: 修行者が牛の骨を手に入れる段階を表します。この段階では、修行者は真理や自己の本質を完全に理解し、それを実践します。
- **入市**: 修行者が牛の骨を市場に持ち込む段階を表します。この段階では、修行者は真理や自己の本質を他者と共有し、教えを広めます。
意義
十牛図は、修行者の心の旅を通じて禅の教えを表現し、修行者が真理や自己の本質を理解し、それを実践するための道筋を示します。修行者は、真理や自己の本質を追求し、それを体験する過程で、自己の成長や変化を経験します。十牛図は、禅の教えを理解し、実践するための指針として、修行者にとって有益な手引きとなります。
関連項目
参考文献
- Sekida, K. (1985). Zen Training: Methods and Philosophy. Shambhala Publications.
- Humphreys, C. (2013). The Wisdom of Zen. CreateSpace Independent Publishing Platform.