ナラティブセラピー
ナラティブセラピー
ナラティブセラピー（Narrative Therapy）は、主にマイケル・ホワイトとデヴィッド・エプストンによって開発された心理療法のアプローチです。このアプローチでは、個人や家族が抱える問題や苦悩を、彼らの生活の物語やナラティブとして捉え、新たな意味や解釈を構築し、自己の力やリソースを引き出すことを目指します。
アプローチ
ナラティブセラピーのアプローチは、問題や苦悩を個々のクライアントの物語やナラティブとして理解し、その物語に新たな意味や解釈を導入することに焦点を当てます。具体的には、以下のようなアプローチが用いられます。
- **外部化**: 問題や苦悩をクライアントの外部化し、それをクライアント自身の個性やアイデンティティとは分離することで、問題の規模を縮小し、クライアントの力を引き出す。
- **再構築**: クライアントの物語やナラティブを再構築し、新たな視点や意味を導入することで、問題に対する新たな解釈やアプローチを可能にする。
- **外的証拠の探求**: クライアントの過去や現在の経験から、彼らの強さやリソース、成果を見つけ出し、それを問題解決や成長のための材料として活用する。
応用領域
ナラティブセラピーはさまざまな問題や状況に応用されます。例えば以下のような応用領域があります。
- **個人の問題**: 自己価値感、不安、抑うつなどの個人の問題や苦悩に対処するために使用されます。
- **家族の問題**: 家族内のコミュニケーションの問題、家族関係の衝突や不和などに対処するために使用されます。
- **トラウマの処理**: トラウマや過去の傷に対処し、新たな意味や解釈を導入するために使用されます。
- **カルチャルコンテクスト**: 文化やコミュニティのコンテクストに焦点を当て、個人や家族の問題を理解し、解決策を見つけ出すために使用されます。
主な技法
ナラティブセラピーにはさまざまな技法やアプローチがありますが、その中でも主なものには以下のようなものがあります。
- **外部化の質問**: クライアントの問題や苦悩を外部化するための質問を行い、それを物語やナラティブとして捉える。
- **再構築の技法**: クライアントの物語やナラティブを再構築し、新たな解釈や意味を導入するための技法。
- **共同作業**: セラピストとクライアントが共同で物語やナラティブを作成し、新たな視点や解決策を模索する。
関連項目
参考文献
- White, M., & Epston, D. (1990). Narrative Means to Therapeutic Ends. W. W. Norton & Company.
- Freedman,