ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)と森田療法の総合ガイド
ACTと森田療法の総合ガイド
概要
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)と森田療法は、どちらも「感情との共存」「価値に基づいた行動」を重視する心理療法である。本ガイドでは両者の違いや共通点を明らかにし、実践例・図解・診断・ワークブックを通じて、自分に合った方法を探る手助けをする。
共通点と違い
| 観点 | ACT | 森田療法 |
|---|---|---|
| 感情の扱い | アクセプタンス(受容) | あるがまま(自然受容) |
| 考えとの関係 | 脱フュージョン(距離をとる) | 考えを変えようとしない(観察に留める) |
| 行動 | 価値に沿った行動 | 目的本位の行動 |
| 実践方法 | マインドフルネス、ワーク、対話中心 | 静養、作業、日記中心 |
| 背景理論 | 現代行動療法(RFT・仏教) | 日本の東洋哲学(禅・自然主義) |
各技法の図解
ACTの技法図解
1. 脱フュージョン 思考と距離をとる練習: 例:「私はダメだ」→「私は『私はダメだ』という思考を抱いている」 <図解イメージ> [思考] →(距離)→ [観察者の自分] 2. アクセプタンス 不快感や感情をそのまま受け入れる: - 「不安をなくす」のではなく「不安と共に行動する」 3. 価値明確化 自分の人生で本当に大切にしているものを特定する: →「家族」「誠実さ」「学び」など 4. コミットメント 価値に沿った行動に踏み出す: → 「週に1回、ありがとうを言う」「孤独でも人と話す」
森田療法の技法図解
1. 初期静養 目的:心身を自然に休ませる 状態:「何もしない」時間を意図的につくる <図解イメージ> [症状] →(抵抗しない)→ [自然回復] 2. 作業療法 単純作業で注意を外へ向ける: → 庭仕事・拭き掃除・皿洗い など 3. 日記療法 感情・行動・症状の変化を客観視する → 自分を観察する習慣をつける 4. 目的本位の行動 「症状があるからできない」ではなく、「目的に従って行動する」 → 例:「不安でも仕事に行く」「頭痛があっても外に出る」
まとめ
どちらのアプローチも「感情との付き合い方」を学ぶための実践的な方法であり、対立するものではない。自分に合うスタイルやタイミングで、柔軟に取り入れるのが最善である。
関連文献
- スティーヴン・C・ヘイズ著『ACTをはじめよう』(星和書店)
- 岡本浩一著『あるがままに生きる 森田療法入門』(ちくま新書)
- 紀伊國屋書店編集部『図解 森田療法』(PHP研究所)