維摩経
- 維摩経
維摩経(ゆいまぎょう、テンプレート:Lang-sa-short、Vimalakīrti Nirdeśa Sūtra、維摩詰所説経)は、大乗仏教の経典の一つ。中心人物である在家信者・維摩詰(ゆいまきつ、Vimalakīrti)が、菩薩や声聞を相手にその智慧を説く内容を持つ。
概要
- インドで編纂されたとされる大乗経典で、成立時期は紀元1〜2世紀頃と考えられている。
- 在家信者である維摩詰(ゆいまきつ、Vimalakīrti)が病を口実に、諸菩薩や弟子たちを招き、空の思想や不二法門などを説く。
- 特徴として、出家者ではなく在家者が主役となる数少ない経典であり、大乗仏教における在家信仰の重要性を示す。
主な内容
- 維摩詰は居士(在家信者)でありながら、深遠な智慧により多くの弟子・菩薩を教化する。
- 文殊菩薩との問答が特に有名で、「不二法門」を説く場面が中心的テーマとされる。
- 維摩詰の沈黙(無言の説法)は、言語を超えた真理を示すものとして象徴的に扱われる。
演出的特徴
- 諸菩薩や声聞が次々と維摩詰を訪問し議論を交わす「問答劇」の形をとる。
- 維摩詰は病を方便として用い、衆生の苦しみに寄り添いつつ法を説く。
中国・日本への伝来
- 中国では鳩摩羅什(344年 - 413年)による漢訳『維摩詰所説経』(維摩経)が広く流布した。
- 日本には6世紀頃に伝わり、奈良・平安時代の仏教思想や文学、美術に強い影響を与えた。
- 法華経・華厳経と並んで大乗仏教の代表的経典として位置づけられる。